
柏木博さんが
「戦争に関わる言説はすべて戦争を肯定する形に作用する」
という指摘をされていて、膝を打った覚えがあります。
たとえその意向が「戦争反対」であっても、
前提として戦争という言葉を置くならば
その言説は戦争を存在のよりどころにしてしまうからです。
マザー・テレサ女史の
「わたしは戦争反対集会には参加しません。
平和集会なら参加します」
という言葉も、この理屈に通じるものがあると思います。
目の前にある苦しみから逃れようとすれば、
その状況を否定したくなるのは自然なことです。
しかし、潜在意識は否定形の言説を処理できません。
わからないのです。
「ライオンを思い浮かべないでください」と言われても、
意に反してライオンが思い浮かんでしまうように
否定形のイメージは一旦悪しき状況を想起させます。
そして「思考は現実化する」のです。
だからこそ、苦しくても笑うというか
今ある状況を一旦脇に置いて
理想を語り/求めることが「鍵」になるわけです。
遠近法というのは、遠いところから考え始める技術です。
エンド(終わり/目的)から「今、何をすべきか」を
導き出す方法とも言えます。
今がどんなに苦しくても、必ず道はあるのです。